コンディション表記(盤質グレード)

コンディション表記とは
中古レコードの状態を等級で示す表記である。盤(レコード本体)とジャケットを別に評価し、併記する。ただし、世界共通のただ一つの基準があるわけではなく、代表的なものだけでも複数ある。
- 英米圏で最も広く使われるのは、コレクター誌 Goldmine が整備した Goldmine 基準(M・NM・VG+・VG・G+・G・F・P)。多くのオンライン通販もこれに準拠する
- 欧州では CDandLP などが独自のグレーディングを使う
- 日本では各店が独自表記を持つ。たとえばディスクユニオンは A・B・C 系の表記と、海外式の NM・EX・VG・G を併用する
等級の意味(Goldmine 基準)
Near Mint を最上位の実用ラインとして、上から並べる。等級は「見た目」だけでなく「音にどう出るか」で捉える。
- M(ミント)— 完全無欠。文字どおりの完品で、実際にはほぼ付かない等級
- NM・M-(ニアミント。M- は「Mint マイナス」の意)— 新品同様で、再生音に不具合は出ない
- VG+(ベリーグッド・プラス)— 外観に軽い使用感はあるが、再生音は NM とほぼ変わらない
- VG(ベリーグッド)— 目に見える使用感がある。表面ノイズは出るが、静かな箇所で目立つ程度にとどまり、音楽を覆い隠すほどではない。バラードやピアノの余韻で気になり、厚い音では紛れる
- G+・G(グッドプラス/グッド。G+ が上)— 通しで再生はできるが、ノイズ、傷、溝の摩耗が目立つ
- F・P(フェア/プア)— 割れ、激しい反り、針飛びなどで再生が困難
視認と試聴の違い
等級を「見て」付けるか「聴いて」付けるかで、意味は変わる。多くの盤は視認で付けられる。業者は全在庫を再生する時間がないからだ。一方で、目視に加えて多くの場合は実際に再生して付けるよう求める考え方もある。だから視認だけの等級は、見た目と異なる鳴り方をする。経験則として、古い盤は見た目より良く鳴り、新しい盤は見た目より悪く鳴りやすい。
規格ごとの等級の違い
等級は規格によって並びが変わる。たとえば「Excellent(EX)」は、Goldmine では VG+ と同義だが、欧州系の CDandLP では VG+ より上の独立した等級で、さらに VG を VG++・VG+・VG と細かく刻む。同じ EX や VG+ でも、規格が違えば指す状態が違う。採点には主観も入り、最も多い誤りは過大評価である。軽い擦り傷のある盤は、よく鳴っても NM ではなく VG+ である。盤とジャケを書く順序も店で違い、ディスクユニオンはジャケ→盤の順で記す。
棚札のグレード表記を読む
中古店の棚札に「盤 VG+ / ジャケ VG」と書かれた一枚を想定する。盤面を斜めの光で見ると、細かい擦り傷はあるが深い溝傷はない。リードインを再生すると、静かな部分で軽いクラックル(連続するパチパチ音)が聞こえるが、本編のドラムとベースには埋もれる。店の FAQ では VG+ は「再生音は NM とほぼ変わらない」と定義されていた。同じ VG+ でも、店によって許容するノイズの量は違う。表記だけでは納得できるかは決まらない。
等級表記の確かめ方
等級表記を見かけたら、まず盤面とジャケの写真、店のグレード対応表を読む。斜めの光で溝の摩耗や傷、反りの有無を目視し、盤とジャケのどちらの等級か、記載順がジャケ→盤なのか盤→ジャケなのかも確認してよい。聴くことが目的なら、ジャケットより盤の等級を優先すればよい。
試聴できるなら、リードインと静かな曲で表面ノイズを確認する。視認だけで付けられた等級は実際の鳴り方とずれることがあるため、聴ける環境があるなら試聴で裏を取るとよい。
「EX」「VG+」がどの規格由来か不明なときは、店の定義表や出品コメントと照合してよい。Goldmine 基準の VG+ と欧州系の EX では並びが異なる。保守的に VG+ と付ける店を選ぶほうが、NM を甘く付ける店より信頼できる。
等級は判断の出発点であり、最終的には、その盤が実際に鳴らす音と、その値段で納得できるかで判断する。