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用語

ノイズ(noise)

2026年6月17日
noise

ノイズとは

ノイズは、針が溝をなぞるときに音楽と一緒に聴こえるザラつきやパチンという音である。クラックルは連続する細かいザラつき、ポップは一瞬のパチンで、いずれも針が拾うノイズであり、曲に意図的に入れた効果音とは別物である。ノイズは「汚れ」「傷」「摩耗」「製造上の欠陥」など原因が分かれる。コンディション表記を読み解くうえで、音楽体験に最も直結する要素である。

ノイズの種類と出どころ

レコードのノイズは、大きく表面の異物と溝そのものの損傷に分かれる。

表面に付いたホコリや油膜は、再生時にクラックルやポップとして聴こえる。

溝に溜まった異物は紙やすりのように溝壁を削り、再生のたびにノイズを増やすことがある。

判定前にクリーニングして汚れと傷を切り分けることが求められる。汚れ由来のノイズは、水洗いや専用洗剤で表面を清めれば軽減する場合がある

クリーニング後も同じ位置で同じ音が出続けるなら、汚れではなく溝壁の損傷である。

溝壁の摩耗(グルーヴウェア)は、針と溝の摩擦で高域の輪郭が失われた状態である。摩耗による歪みは、ドラムやベースの打撃の直後など大きな音の瞬間に現れやすく、連続したパチパチの表面ノイズとは聴感が異なる。摩耗が進んだ盤では、バラードの余韻やピアノの弱い音で音楽そのものが曇る。

傷(スクラッチ)は溝を横切る線状の損傷である。針の通過のたびにポップやクリックとして鳴る。同じ場所で繰り返し鳴るポップは、傷か製造上の欠陥を示す手がかりになる。曲全体に広がるクラックルは、傷ではなくホコリや摩耗に由来する場合が多い。

プレス工程の段階で生じるノイズもある。成形の甘さで表面にノイズが乗る。非充填(non-fill)は溝が十分に成形されず、引き裂くような擦過音として出るオフセンターはセンターホール(盤の中心穴)の位置ずれでピッチが周期的に揺れる(ウォウ・フラッター)。こうした欠陥はクリーニングでは消えない。

ノイズが目立つ場所

ノイズの聴こえ方は、再生位置によって変わる。

リードイン(音楽が始まる前の溝)と曲間の無音部には音楽がないため、ノイズは隠れない。静かな箇所を先に試聴すると、表面ノイズの有無と程度を判断しやすい。イントロやアウトロの弱いパッセージ、ピアノやアコースティックの余韻も同様に、ノイズが音楽と競合しやすい場所である。

厚い音では、同じノイズでも音楽に紛れやすい。VG では静かな箇所で傷が聴こえても、本編では音楽を覆い隠さない、とされる。曲の静かな余白が多い作品ほど、同じ等級でもノイズは目立つ。

ノイズと等級表記

コンディション表記はノイズの有無と程度を等級に落とし込む。要点だけ押さえると、次のように読める。

多くの中古盤は視認だけで等級が付けられる。古い盤は見た目より良く鳴り、新しい盤は見た目より悪く鳴りやすいという傾向もある。ノイズの判断は、表記より試聴(または信頼できる試聴コメント)が優先される。

VG 中古盤での切り分け例

リードインで細かいクラックルが続くが、本編のドラムとベースが鳴り出すと同じ位置のノイズが埋もれる。VG 表記の中古盤でよくあるパターンである。クリーニング後も同じ箇所でパチンと鳴るなら、汚れではなく溝の損傷か傷の可能性が高い。曲間だけを聴いて許容した盤が、ピアノ独奏のアウトロでノイズと音楽が競合する、という切り分けもある。

ノイズの確かめ方

ノイズは、クリーニングで消えるかどうかを基準に見る。反りは別の欠点として切り分けてよい。

盤面を斜め光で見て、ホコリ膜や線状の傷がないか確認する。通販ならリードイン付近まで写った表面写真と、「クリーニング済み」の有無を先に読む。後者は一時的な汚れノイズの可能性を下げるだけで、溝の傷は消えない。

針を落としたら、リードインと曲間の無音部から聴き始めてよい。静かなパッセージで音楽とノイズが競合するかを確かめ、厚い本編でも同じ位置の音が残るかを聴く。曲間のクラックルだけなら VG+ 相当の許容域に入ることが多い。

コンディション表記や出品説明と聴感がずれるときは、表記を疑ってよい。

最後は、聴きたい曲の静かな余白の量で許容を決めればよい。ピアノトリオのように余白が作品の半分を占める盤は、ノイズに厳しくなる。ベースラインが厚く続く曲では、同程度のノイズでも埋もれやすい。同じ等級でも、曲との相性で許容できる範囲は変わる。

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