ジャケット(jacket)

ジャケットとは
ジャケット(jacket)は、レコード盤を入れる外装の紙製の袋である。通称「ジャケ」も同じものを指す。厚手のカードボードを折り畳み、片面または両面に印刷したポケット状の袋になっており、盤はその内側に収まる。
12 インチ LP では、おおむね 31 センチ四方の正方形が標準的である。表紙(フロント)にアートワーク、裏面(バック)にトラックリストやクレジットが載る。背表紙(スパイン)にはタイトルや品番が刷られることも多い。盤の出し入れは、上辺または下辺のどちらかが開いたポケットから行う。シングルポケット型が最も一般的で、盤 1 枚分の厚みである。
インナースリーブ(内袋)はジャケットの内側にもう 1 枚入る袋で、盤が直接触れる層である。外装のジャケットと内袋は別物で、役割も分かれる。ジャケットはアートワークと情報を載せ、盤を束ねて保護する。内袋は盤の表面を紙やほこりから隔てる。
ゲートフォールドは、本のように中央から開く見開き型のジャケットである。通常型と外寸は同じだが、開くと内側パネルにライナーノートや写真を載せられる。7 インチや 10 インチ盤用は、外寸がそれぞれ小さくなる。
帯(OBI)はジャケットの外側に巻く付属物で、日本盤に多い。帯の有無はジャケットの完成度の話であり、盤そのものとは別軸である。
ジャケットと盤を分けて評価する
再生音は盤の溝だけから生まれる。針が辿るのは溝であり、ジャケットの紙や印刷の状態は再生音に入らない。そのため表紙の傷や背表紙の裂けがあっても、盤がきれいに鳴れば音楽体験は保たれうる。
コンディション表記では、盤(Media)とジャケット(Sleeve)を別に評価する。「Media / Sleeve: VG+ / G」のように、前半が盤、後半がジャケットである。多くの通販ではこの順序だが、店によってジャケットを先に書くこともある。表記だけ見て、どちらの等級かは出品説明や店のルールで確かめる。
ジャケット側の欠点には、リングウェア(盤の輪郭が押し付けられた染みやへこみ)やシームスプリット(辺の裂け)、角の折れ、汚れがある。Goldmine 基準では、これらは Sleeve 側の等級を下げる要因として扱われる。
盤が VG+ で鳴るのにジャケットだけ傷がある、という組み合わせは珍しくない。逆にジャケットがきれいでも、盤のノイズや反りで音楽体験は損なわれうる。聴く目的なら Media を優先し、棚に並べる完品志向なら Sleeve を重く見ればよい。
中古 LP の表記例
中古店で「Media / Sleeve: VG+ / VG」と表記された LP を想定する。表紙のアートワークは鮮やかだが、裏面に盤の外径に沿った軽いリングウェアがある。盤を上辺のポケットから取り出し、リードイン(曲が始まる前の無音の導入溝)を聴くと静かで、本編も問題ない。聴く目的ならこの盤は Media の VG+ で判断できる。Sleeve の VG は、輪染みの深さと棚に立てたときの見た目の話である。
店頭でのジャケットと盤の確かめ方
店頭ではジャケットだけきれいな盤を手に取りがちだが、ポケットから抜いてリードインを聴くまで購入は決めない。曲が鳴るかは Media だけで分かり、ジャケットの状態は Sleeve 表記として別に読む。
まず盤を取り出して試聴する。上辺または下辺の開口から、内袋ごと抜くか、内袋の中から盤だけ取り出す。リードインと静かな曲でノイズや反りを確かめ、鳴るかどうかを盤側だけで判断してよい。ジャケットの傷は、そのあとで Sleeve として読めばよい。
次にジャケットを手に取り、表紙、裏面、背表紙を斜光で見る。角の折れ、輪染み、辺の裂け、汚れの有無を確認する。コンディション表記の Sleeve 表記と、実物の傷の深さを並べる。見開き型かどうかは、背表紙に折り目があるか、開くと内側パネルが現れるかで分かる。ゲートフォールドでは枚数やインサートが増えやすい。
帯(OBI)やステッカーはジャケット外側の付属物として別に読む。帯の有無は完成度の話で、試聴で確かめるのは盤とノイズの状態である。ジャケットの品番や表記と盤面の刻印が違うときは、盤面の文字列を正として読む。
最後は、盤が返す音を優先するか、ジャケットの見た目を優先するかで決めればよい。保管では盤をジャケットから分け、インナースリーブと保護用の外袋(ジャケットの外に被せる外装ビニール)で保護すると、リングウェアやシームスプリットの進行を抑えやすい。