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用語

A面とB面(sides)

2026年6月17日
sides

A面とB面とは

A 面と B 面(Side A / Side B)は、1 枚のレコード盤に刻まれた 2 つの再生面である。ビニール 1 枚は通常、2 面で、表を A 面、裏を B 面と呼ぶ。A 面を聴き終えると盤を裏返し、B 面を再生する。

LP(long play)は 1 枚 2 面でアルバム相当の曲数を載せる標準形式である。7 インチ・シングルも 1 枚 2 面だが、多くは A 面に主題曲、B 面にカップリングの 1 曲ずつという短尺設計である。EPも 1 枚 2 面だが、1 面に複数曲を載せる。A 面と B 面のどちらも曲リストとして対等に読む。2 枚組 LP では 1 枚目が A/B、2 枚目が C/D 面と表記される(古い多枚組には、自動演奏機向けに 1・4 面/2・3 面を組む例もある)。

面の表記はラベルSide A / Side B(または A面 / B面)、ジャケットのトラックリスト、マトリクス・ランナウト-A / -B などに現れる。どの面にどの曲が載るかは、盤面とジャケットを並べて読む。

面ごとの溝と再生の段取り

面ごとのリードインとリードアウト

各面は、外周のリードイン(lead-in / run-in)から始まる。リードインは音楽を載せない(または載せないことが多い)導入溝で、針を本編の溝へ滑らかに案内し、ターンテーブルが回転数(RPM)どおりの速度に落ち着く時間を確保する。A 面も B 面も、面を替えるたびにリードインから針を落とす。

面の終わりにはリードアウト(lead-out / run-out)がある。本編の最終曲のあと、針をラベル方向へ導き、盤面から外れないようにする。多くの盤ではリードアウト末端にロックドグルーヴ(同じ位置を繰り返す溝)が切られ、針がラベル上へ滑り込むのを防ぐ(整理)。

最終曲と内周

1 面の曲は外周から内周へ向かって並ぶ。同じ面の最終曲は内周付近に載る。回転数は一定でも、内周ほど針の下を通過する溝の長さ(線速度)は短い。回転数(RPM)の記事で述べたとおり、内周は高音の解像度が落ちやすい。収録時間の長いLPでは、B 面ラストは外周の頭曲より解像度の落ち方が目立つ。

曲間には、溝の間隔を広げたラック(ID グルーヴ)が入る。見た目は無音の帯に見える。カッティング次第では、無音に見えても音が刻まれている場合もある。

7 インチと 45 アダプター

7 インチ・45 RPM のシングルは、大穴(ドーナツ盤)が標準で、センター穴が LP より大きい。大口径穴の盤を LP 用の小口径スピンドルだけのターンテーブルで再生するときは、45 アダプター(spider / insert)を穴に嵌めて直径を合わせる。アダプターなしでは盤が傾き、ピッチやノイズの原因になる。

12 インチ盤は小口径穴が標準で、アダプターは通常不要である。面の表記(A/B)と穴径、直径は別の軸なので、回転数(RPM)とセットで読む。

A 面と B 面という聴き方

面は物理の単位であると同時に、作品の構成単位でもある。アルバムが面で分かれる時代には、A 面と B 面が別の章のように設計された。片面ずつ立ち上がり、面替えの間(ま)が曲順の一部として働いた。Abbey Road の B 面に置かれた約 16 分のメドレーは、短い断片をつないで一続きに設計され、個々の曲ではなく面全体で聴くことを前提にした構成の代表例になっている。

シングルでは、A 面が売り出す曲、B 面がカップリング、という序列が長く通用した。一方で、両方を主役として出す「両 A 面(double A-side)」もある。Day Tripper / We Can Work It Out(1965)はその初期の例で、どちらを A 面と呼ぶかが定まらない。盤面の Side A / Side B 表記は、こうした売り出し方の記録でもある。

面が聴取の単位だった、という前提を知っておくと、トラックリストの並びや B 面ラストに置かれた曲の意味が読みやすくなる。

再生の流れの実例

12 インチ LP を A 面から再生する。ジャケットのトラックリスト 1〜5 が A 面、6〜10 が B 面と載っている。A 面 5 曲目は面の内周付近で、外周の 1 曲目よりハイハットが痩せて聴こえることがある。A 面終了後、針を上げて盤を裏返し、B 面のリードインへ針を落とす。B 面 10 曲目(最終曲)も内周で終わり、リードアウトのあと針がロックドグルーヴで止まる。

7 インチ 45 RPM のシングルなら、A 面 1 曲、B 面 1 曲で完結する。大口径穴のため 45 アダプターを嵌め、A 面リードインでノイズを確かめてから本編へ進む。

面の確かめ方

まず物理を読む。ラベルの Side A / Side B、ジャケットの曲順表記、盤面の -A / -B 刻印を並べる。2 枚組なら 1 枚目が A/B、2 枚目が C/D か確認する。7 インチで大口径穴なら 45 アダプターの要否も見る。回転数(RPM)表記(33⅓ / 45)と矛盾がないかも同時に確かめる。

次に各面を試聴する。A 面と B 面それぞれのリードインでノイズとピッチを聴き、外周の頭曲と内周の終曲で高音の立ち上がりを比べる。面を替えるたびにリードインから針を落とし、最終曲のリードアウトまで通す。B 面だけスキップして評価しない。LPで 1 面 20 分超なら、終曲の内周劣化を想定して聴く。

刻印や表記が読めたら、手元の別版や版情報サイトで同じ Side 表記、曲順を照合してよい。A 面と B 面でラベル世代が違う「ミックスラベル」も製造上起こりうる。曲順と音の連続性は盤面表記を正として読む。

最後は、片面のみでなく 2 面通しで作品としてどう鳴るかで判断する。面は作品の分割単位であり、1 枚のレコードは A 面と B 面で 1 つにまとまる。

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