メインコンテンツへスキップ
用語

LP(long play)

2026年6月17日
lp

LPとは

LP(long play)は、1 枚のビニール盤にアルバム相当の曲数を載せるための標準形式である。現行のポピュラー音楽では、12 インチ、33⅓ RPMマイクログルーヴの組み合わせが LP の定番である。

1948 年 6 月、Columbia がマイクログルーヴ LP を市販し、78 RPM の粗い溝より細い溝(インチあたり 300〜400 本)と低い回転数で、1 面あたりの再生時間を大きく伸ばした。LP は1 枚 2 面(表の A 面と裏の B 面)に曲を分け、ジャケット 1 枚で通し聴きできるように設計された。

7 インチのシングルは 1 曲前後×2 面が基本で、回転数は 45 RPM が標準である。EP(extended play)はシングルと LP の間(枚数、曲数、1 面の長さが LP より短い)に位置づけられる。LP という語は「長時間再生」を指し、直径、回転数、収録時間のセットで他形式と区別する。回転数と線速度の関係は回転数(RPM)の記事で扱う。

LPが規定する聴き方と音

1 枚 2 面とアルバムの聴き方

LP の利点は、1 枚で複数曲を連続して聴けることにある。A 面と B 面に曲順が割り当てられ、曲間の無音の溝(ラック)も含めて一枚の作品として設計される。シングルが 1 曲の拡散向け、EP が短いまとまり向けなら、LP はスタジオ・アルバムや長尺の作品集向けに最適化された。面をまたいで一続きの作品を設計することもできる。Abbey Road の B 面に置かれた約 16 分のメドレーは、LP の片面を 1 つの組曲として使った例である。

収録時間とカッティング

33⅓ RPM の 12 インチ LP では、1 面あたりおおむね 20〜22 分が目安とされる。面が長いほど溝を細く浅く刻む圧力がかかり、低音と音量の余裕は減る。プレス工程で述べたカッティング制約は、LP ほど顕著になる。

78 RPM の粗溝盤は 1 面 3〜4 分が上限に近く、交響曲は複数枚に分割された。LP は同じ 12 インチでも、細い溝と 33⅓ RPM により 1 枚 2 面でアルバム全体を収められるようになった。収録時間を延ばす代償として、内周の解像度は外周より落ちる。これは LP 固有の物理であり、回転数(RPM)の線速度の話と直結する。

マイクログルーヴと再生

マイクログルーヴは、針が拾う溝を 78 時代より細くした形式である。電気増幅を前提に、溝から取り出す必要のある音響エネルギーは小さくなった。そのため、細い溝でも歪みを抑えて再生できる。

1955 年頃以降、RIAA イコライゼーションは LP 向けの業界標準として定着した。現行のフォノイコライザーは LP 再生をこの曲線前提に設計されている。1955 年以前の LP には、レーベルごとに異なる録音特性が残る場合もある。

10 インチ LPや 12 インチ 45 RPM の再発版も市場にある。「LP」という語が指すのは、通常 12 インチ、33⅓ RPM、1 枚 2 面の組み合わせである。12 インチ 45 RPM は枚数が増える代わりに 1 面の線速度を稼ぐ意図があり、33⅓ LP との違いは回転数(RPM)の記事で整理する。

同タイトルのシングル版とLP版

同タイトルが 7 インチ 45 RPM シングル(1 曲×2 面)と 12 インチ 33⅓ RPM LP(6〜10 曲を A/B に分割)の両方で出ている場合を想定する。シングルは外周の解像度と 1 曲の没入に向き、LP は曲順とアルバム全体の流れに向く。どちらの形式が音質で上ということではなく、聴き方が違う。

LPの見分け方と聴き方

LP かどうかは、新しさや高級さの印ではない。先に確かめたいのは、12 インチ、33⅓ RPM、1 枚 2 面かどうかである。

ラベル33⅓ RPM / LP / Long Play 表記、直径(12 インチか)、ジャケットのトラックリストが A 面と B 面に分かれているかを読む。7 インチで大口径センター穴ならシングル、曲数が少なく 1 枚 2 面で LP より短いなら EP の可能性を疑ってよい。品番の系列(LP 用品番など)も手がかりになる。

届いてから、ターンテーブルを 33⅓ RPM に合わせる。各面のリードインでノイズを聴き、反りを目視してから、A 面から B 面へ通しで聴く。1 面 22 分超の LP は、内周の曲で高音が痩せやすい。収録時間表記とプレス工程のカッティング制約を並べて読む。

マトリクス・ランナウトの文字列が読めたら撮影し、手元の別版や版情報サイトで同じ文字列を探してよい。品番系列がシングル用と LP 用で分かれることも多い。表記の一致だけで版を決めない。同タイトルに 7 インチ版と LP 版があるなら、曲数と曲順の違いを確認してから選べばよい。

形式表記だけで音質は決まらない。同じ LP でもプレスとマスターの差のほうが、重さや厚みより大きく効く。アルバムとして通してどう流れるかを基準に聴けばよい。

記事一覧へ戻る