EP(extended play)

EPとは
EP(extended play)は、シングルより曲数が多く、LP(long play)より少ない中間のレコード形式である。Extended Play の略で、1 枚に載る曲数と再生時間が「1 曲×2 面」のシングルを超え、アルバム盤ほどには伸びない位置づけである。
EP は 1950 年代以降、7 インチ盤で確立した。直径は シングルと同じ 7 インチ(おおむね 17.5 センチ)が典型で、回転数は 45 RPM が多い(一部 33⅓ RPM)。IASA の用語整理では、EP は次のように定義される。
7 インチ・33⅓ または 45 RPM で、1 面最大 8 分程度まで載せる拡張プレイ用ディスク。
12 インチ EP も存在し、合計 3〜5 曲で 12 分超の例が整理されている。
7 インチ EP は、1 面 2 曲前後(合計 4 曲前後)で、再生時間 10〜15 分程度が多かった。12 インチ EP は 1 枚 2 面で 20 分前後まで伸びうるが、33⅓ RPM の LP ほど長くは載せない設計が一般的である。
曲数の詰め方と音
EP は「短いアルバム」ではなく、物理フォーマットと曲数の組み合わせで読む。同じ 7 インチでも、シングルは 1 面 1 曲が基本で、EP は 1 面に複数曲を載せる。1 面の合計時間が延びるぶん、1 曲あたりのカッティング余裕はシングルより狭くなりやすい。
7 インチと 12 インチ
7 インチ EP は 45 RPM が多い。同じ直径でも 1 面 2 曲以上載せるぶん、各曲の尺はシングルより短く収まることが多い。12 インチ EP は 33⅓ RPM または 45 RPM があり、DJ 向け 12 インチやマキシシングルとサイズを共有する。曲数とジャケット表記で EP かどうかを切り分ける。
枚数・時間の目安
| 形式(典型) | 直径 | 回転数 | 1 面の曲数 | 1 面の目安時間 |
|---|---|---|---|---|
| シングル | 7 インチ | 45 RPM | 1 曲 | おおむね 3〜4 分 |
| EP | 7 インチ | 45 RPM(一部 33⅓) | 2 曲前後 | 最大 8 分程度まで |
| EP | 12 インチ | 33⅓ / 45 RPM | 計 3〜5 曲(両面) | 12 分超の例あり |
| LP | 12 インチ | 33⅓ RPM | 複数曲 | 20 分前後まで |
曲数だけでは EP と LP の境界は固定されない。12 インチで 4 曲かつ 20 分未満なら EP 表記の例も、同じ枚数でも LP と呼ばれる例もある。盤面の表記とジャケットのトラックリストをセットで読む。
ミニアルバム・シングルとの混同
「ミニアルバム」は流通上 EP と同義で使われることが多いが、規格名ではない。ビニールでは、7 インチ 45 RPM で 1 面 2 曲載せた盤が EP なのか「拡張シングル」なのか、レーベル表記次第で分かれる(CD・配信の EP 表記とは別軸である)。また日本の中古市場では、1 面 1 曲のシングルを含め 7 インチ 45 RPM 盤全般を慣用的に「EP 盤」と呼ぶことが多い。店頭の「EP」表記は、本記事の定義(1 面複数曲)ではなく直径と穴径を指す用法であることが多い。
マキシシングル(12 インチ 45 RPM など)は、1 曲を主役に据え残りを B 面扱いにする設計が多い。EP は主題曲 1 本に従属せず、A 面と B 面のどちらも対等な曲リストとして読む。同じ 4 曲、同じ尺でも、ジャケットが「シングル」系列の品番か、別タイトルの EP かで商品区分が変わる。
音への影響は、曲数と 1 面の合計時間が先である。1 面 8 分に近い EP では、RPM の記事で述べたとおり、カッティング側がレベルを下げる(減衰、圧縮する)場合がある。収録時間を延ばすほど、各曲のダイナミクスに制約がかかりやすい。RPM の表記そのものよりも、プレス工程のカットとスタンパーが音を左右する。
7 インチ EP の実例
1960 年代の UK 7 インチ EP を想定する。ジャケット表紙に EP タイトルが刷られ、裏面に A/B 各 2 曲、合計 4 曲が載る。直径と穴径は シングルと同じ 7 インチ、大口径だが、1 面には 2 曲あり、針を上げずに A 面だけで 2 曲聴ける。同アーティストの 12 インチ LP 版と並べると、EP は既発シングルの曲集やライブ録音の短尺版であることが多い。
12 インチ・33⅓ RPM で 4 曲、1 枚 2 面の盤は、尺だけ見れば EP 寄りだが、レーベルが LP 系列の品番を付け LP として売る例もある。
EP盤の見分け方
EP は「シングルと LP の中間」という言葉だけでは足りない。直径、回転数、1 面の曲数、A 面と B 面の配分を、手元の盤から読む。
まず物理を確かめる。ジャケットのトラックリストで 1 面の曲数を数える。7 インチで 1 面 1 曲なら シングル、1 面 2 曲以上なら EP の可能性が高い。12 インチなら曲数と 1 面の合計時間を見て、4 曲前後で 20 分未満なら EP 表記の例が多い。ラベルの EP / Extended Play / 45 RPM / 33⅓ RPM、品番の系列(シングル用、LP 用)を並べる。
次に試聴する。A 面頭と曲間、最終曲の内周でノイズと解像度を聴く。1 面に複数曲ある EP は、曲間の溝と各曲の頭出しがシングルより多い。曲頭の溝に針落としの傷が集中しやすく、スピンドル痕やグルーヴウェアの出方も曲ごとに変わる。同タイトルの シングル版(1 面 1 曲)と比べるなら、外周の立ち上がりと 1 面あたりの音量感を聴き分ければよい。
刻印が読めたら、マトリクス・ランナウトの文字列を撮影し、手元の別版や版情報サイトで同じ文字列を探してよい。「EP」と書いてあっても 12 インチ 33⅓ RPM で 8 曲載る盤は LP として売られている。表記より曲数と尺を優先する。
最後は、短尺の曲集として 1 枚で完結させるか、同曲の LP 収録版を通して聴くかで選べばよい。EP はシングルより曲数が多く LP より短い中間フォーマットであり、表記の枠よりも実際の曲数と尺、再生して確かめた音で判断する。